カテゴリー: 国際業務

  • 在留資格と注意すべきポイント

    在留資格と注意すべきポイント

    今回は、外国人を雇用する企業の方や、日本での在留資格について知りたいと考えている方に向けて、入管手続きの要点を整理してお話しします。

    入管の手続きは非常に複雑で、一つひとつの要件を満たしているかどうかの確認が、のちのトラブルを防ぐ鍵となります。注意すべきポイントを解説していきます。

    1. 在留資格申請で最も大切なこと:該当性と基準適合性

    まず、どのような在留資格であっても、根本となるのは以下の2つのポイントです。

    • 在留資格該当性:申請人が行おうとしている活動が、その在留資格に当てはまるか。
    • 基準省令適合性:その資格の許可基準をクリアしているか。

    これらを確認するために、必ず申請人の活動内容について丁寧にヒアリングを行う必要があります。申請の際には、在留資格該当性、基準省令適合性、そして期間更新や変更の場合は「相当性」について、「理由書」を作成することで審査官が申請内容をスムーズに理解できる一助となります。申請人の経歴や業務内容を、審査官が判断しやすい形で構成することが、許可への近道です。

    2. 就労資格の理解とリスク管理

    就労系の在留資格は多岐にわたりますが、特に「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」は非常に一般的な資格です。これらは、単なるアルバイトや経験のみでは認められず、学歴という素養や専門的な知識が必須となります。

    企業の方には、以下の点に特に注意していただきたいです。

    • 「技人国」の要件:大卒、日本の専門学校卒、または10年以上の実務経験が必要です。専門学校卒の場合は、審査において履修内容(成績証明書など)が厳しくチェックされることも踏まえた準備が必要です。
    • 業務内容の十分な確認:他の資格と混同しないよう注意が必要です。たとえば学校と塾の教員を兼務を想定している場合、兼務が現実的か、サブの活動を資格外活動として許可を得るなど、慎重な検討、対応を行わないと不法就労になってしまいます。
    • 現場の確認:ヒアリングだけでなく、必要があれば実際の現場を確認し、許可された活動以外をさせることがないよう、社内全体で理解を深める体制が重要です。

    就労資格証明書の活用

    転職者の採用時、特に在留期限まで期間がある場合は、就労資格証明書の活用をおすすめします。本人にとっても、企業にとっても不法就労リスクを低減できる大きな手段です。企業が不法就労助長罪に問われれば、今後の外国人採用が難しくなるという経営上の危機にも繋がりかねません。リスクを未然に防ぐためにも、こういった制度を積極的に活用すべきです。

    3. 在留カードと日々の手続きのルール

    日本に中長期滞在する外国人に発行される「在留カード」は、16歳以上は常時携帯が義務付けられています。この取り扱いは非常に重要です。

    • 14日以内の届出:住所地や所属機関の変更があった場合、14日以内に届け出なければなりません。転職の際の手続き漏れは非常によくあるケースですので、必ずフォローが必要です。
    • 紛失時の対応:万が一紛失した場合は、速やかに再発行申請を行う必要があります。悪用のリスクを考慮し、警察への遺失物届も不可欠です。併せて紛失したカードを探す努力はしてもらうべきです。
    • 在留期間の特例:申請中であっても、満了日を超えて在留できる特例がありますが、最近はオンライン申請が主流で、在留カードに記載がされません。申請受付メールなどの情報を管理し、本人にプリントアウトして携帯してもらうなどの指示が必須となっています。

    4. 不許可となった場合や、資格取り消しのリスク

    万が一、申請が不許可となった場合でも、まだ終わったわけではありません。特定活動(30日や31日)が付与されることがあります。31日の特定活動資格が付与された場合、ここで冷静に何が問題だったのかを入管で確認し、再申請を行うことで、資格変更や企業変更のチャンスは十分残されています。

    また、注意すべき点として、3か月(高度専門職2号は6か月)以上正当な理由なく活動していない場合、在留資格が取り消される可能性があることも覚えておく必要があります。結婚していた場合、離婚して6か月を超える場合も同様です。

    5. 最後に:専門家の役割

    在留資格の手続きは、一度きりのものではなく、採用後の管理や更新まで見据えた長期的視点が必要です。特に在留資格や基準に適合するかが怪しい場合、や「日本人の配偶者等の実態調査(同居の有無など)」など、専門的な知識と経験が求められる場面が多々あります。

    不法就労のリスクを避け、適正な形で外国籍の方と働き、生活していくために。手続きで迷うことがあれば、お近くの専門家にお気軽にご相談ください。

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  • 行政書士がサポートする「国際業務」の基本

    行政書士がサポートする「国際業務」の基本

    行政書士の業務のひとつに「国際業務」があります。これは、日本に滞在する、あるいはこれから滞在したいと考えている外国人の方に関する手続きをサポートする業務です。

    そもそも「外国人」とは、出入国管理及び難民認定法において「日本国籍を有しない者」と定義されています。私たち行政書士が主に取り扱うのは、3か月以上の中長期の滞在を希望する外国人の方の、紛争性のない在留資格に関する諸手続きです。

    1. 在留の権利は「当然の権利」ではありません

    まず大前提として、外国人が日本に在留するためには、原則として「在留資格」が必要です。ここで非常に重要な判例をご紹介します。「マクリーン事件」の最高裁判決です。この判例では、「外国人の基本的人権は認めるものの、日本に在留する権利は保障されておらず、在留更新は国の広範な裁量に委ねられる」という点が示されています。

    つまり、日本にいることは当たり前の権利ではないということです。そのため、在留資格を申請する際は、あくまで「許可をいただけますでしょうか」という謙虚な姿勢が、手続きのうえで非常に大切になります。

    2. 外国人が日本に滞在するまでのステップ

    外国人が日本に来るまでには、明確なステップがあります。

    1. 入国:日本の領土、領空、領海に入ること。
    2. 上陸:空港などの出入国港での上陸申請。パスポート(旅券)とVisa(査証)が必要です。
    3. 在留:許可を得て日本に住むこと。
    4. 出国:日本を出ること。

    入国審査では、入国審査官が「上陸のための条件(入管法7条1項)」に適合しているかを厳しく審査します。虚偽がないか、産業や国民生活に影響がないか、上陸拒否事由(1年以上の拘禁刑、麻薬関連、売春・斡旋等)に該当しないかなどを確認し、適合と認められればパスポートに上陸許可の証印が押されます。

    3. 在留資格認定証明書(COE)と「申請取次」の役割

    手続きを効率化するために活用されているのが「在留資格認定証明書(Certificate Of Eligibility、通称COE)」です。従来の窓口申請において発行された紙の証明書の他に、現在はオンライン申請が可能となり、手続き後に発行されるメール自体がCOEとなっています。

    行政書士は、このCOE取得などの手続きを「申請取次」としてサポートできます。これは単なる代理人ではなく、「申請取次行政書士」という特別な資格を持つ者が行える業務です。教育を受け、行政書士会を通じて地方出入国在留管理局長に届け出た行政書士のみが、入管への出張や手続きをスムーズに行うことができます。

    なお、国際業務を扱う行政書士にとって、入管に足を運ぶことは基本です。行政庁はルールを最も知っている場所です。不明点があれば恥ずかしがらず、面倒がらず、直接確認に行き、経験値を高める努力が必要です。

    4. 在留資格の「肝」を理解する

    行政書士が依頼を受ける際、最も重要視しているポイントがあります。ここを間違えると、最悪の場合「不法就労」を助長することになってしまいます。

    • 在留資格がないと、原則日本には住めません。
    • 日本で行おうとする活動が、認められた「在留資格」に該当しない場合、資格を得ることはできません。
    • 許可された活動以外は、原則として行ってはいけません。

    企業の方から「どんな仕事なら外国人にやらせられるの?」という質問をいただいても、「あなたが具体的にやらせたい活動は何ですか?」と必ず確認することが大切です。活動内容によって適切な在留資格は異なり、これを間違えると後のトラブル、更には「不法就労」に繋がる可能性が高まります。

    在留資格の分類

    在留資格は、大きく「活動系」と「身分地位系」に分かれます。

    1. 活動系在留資格

    特定の活動を行うための資格です。

    • 就労資格(許可基準あり):技術・人文知識・国際業務、経営・管理、高度専門職、特定技能、技能実習など。私たち行政書士が最も多く関わる分野です。
    • 就労資格(許可基準なし):外交、公用、教授など。
    • 非就労資格:留学、家族滞在(扶養する配偶者・子など)、短期滞在など。

    2. 身分又は地位系在留資格

    日本での活動に制限がありません。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などがこれに当たります。また、帰化という選択肢も存在しますが、この選択により母国の国籍を失うことになりますので、本当にその選択でいいのかを改めて確認し、慎重な選択を促す必要があります。

    5. 最後に:ルールを守り、適切なビジネスを

    国際業務は、手続きの正確さが何よりも求められる仕事です。特に「偽装結婚」や「意図しない不法就労」などを防ぐための審査は厳格です。

    これから外国人の雇用を考えている経営者の方、日本での滞在を目指す外国人の方は、専門家への相談を強くお勧めします。適正な手続きを行うことが、日本での安心した生活やビジネスの発展への近道です。どんな小さなお悩みでも、まずは一度ご相談を。