民事法務と今から取り組むべきこと

本日は「民事法務」および「今から取り組むべきこと」を中心に、実務家として持っておくべき視点や心構えについて整理しました。これまでの人生経験をどう活かしていくか、改めて身が引き締まる思いです。

民事法務における責任と行政書士の立ち位置

民事法務は、許認可業務と異なり行政機関のチェックが入らないケースが多いため、我々行政書士の肩にかかる責任とリスクは非常に大きいと言えます。だからこそ、公正中立な立場で関係者にしっかりと立場を説明し、信頼を得ることが不可欠です。「雛形さえあれば仕事になる」という安易な考えは捨て、専門性を磨き続けなければなりません。

主な業務領域と注意点

  • 各種契約書作成:紛争に関与することはできませんが、未然に防ぐための予防法務として重要な役割を担います。
  • 遺産分割協議書・遺言書原案作成:家族の想いを形にする繊細な業務です。
  • 離婚協議書作成:当事者が冷静さを欠いている場合も多いため、真偽を確かめる傾聴力が問われます。
  • 就業規則作成:こちらは見解の争いがある分野のため、深入りは避けるべきだと再認識しました。

遺言・相続業務におけるコンサルティング視点

近年、遺言に対する意識は「縁起でもないもの」から「大切な人を守るための準備」へと変化しています。特に自筆証書遺言については、法務局の遺言書保管制度を利用することで、紛失リスクの回避や検認不要といった大きなメリットを享受できます。法務局では内容の相談には応じてもらえないため、ここをサポートすることこそが行政書士の職域となります。

また、相続業務はライバルの多い領域ですが、他士業と連携した「総合プロデューサー」としての役割を目指すべきです。お客様には、行政書士ができる範囲の限界を正直に伝えつつ、チームで対応できる安心感を提供することが大切だと感じました。

成年後見制度の深い理解と課題

後見制度には「法定後見」と「任意後見」がありますが、特に行政書士が介在しやすいのは、本人の判断能力が十分なうちに公正証書で契約を結ぶ任意後見です。しかし、任意後見だけでは死後の事務や、判断能力低下を伴わない身体機能の低下には対応できません。これらをカバーするためには、以下の契約をセットで検討する必要があります。

  • 財産管理委任契約
  • 死後事務委任契約

現状、法定後見人に行政書士が選ばれるケースはまだ少ないのが実情ですが、認知症高齢者が増える社会において、今後私たちが貢献すべき重要な分野であることは間違いありません。

離婚関連業務と2026年施行の法改正

相談会でもニーズの高い離婚業務ですが、実務上非常に重要なニュースがあります。2024年5月の民法改正により、2026年4月1日から「法定養育費制度」が施行される予定です。

この制度により、取り決めがなくても一定の養育費が請求可能となり、差し押さえも容易になります。しかし、これはあくまで養育費に限られた話です。慰謝料や財産分与まで含め、確実に権利を守るためには、やはり強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することを勧めるべきでしょう。年金分割や住宅ローンの取り扱いなど、個別事案に応じた細やかな設計こそが行政書士の腕の見せ所です。

今から取り組むべき「自分軸」の構築

知識の習得と並行して、今から準備しておくべきは「選ばれる理由」作りです。

人脈づくりと紹介に頼らない営業

自分が相手の立場なら、どんな人と知り合いたいか。常に「有益な情報を提供できるキーパーソン」になれるよう準備が必要です。また、紹介を待つだけでなく、ホームページやダイレクトメール、勉強会での発表など、自ら仕掛ける営業も並行して行わなければなりません。

周辺知識の習得と理念の確立

税務や登記、社会保険など、他士業の専管業務に触れない範囲で、一般的な公開情報のレベル(相続税の計算方法や路線価の見方など)は熟知しておくべきです。お客様にとっての「最初の相談窓口」として、幅広い知識は武器になります。

最後に、最も大切なのは「自分の理念」です。なぜこの仕事を目指したのか。これから、どう人生を悔いなく生きていくのか。その矜持をぶらさず、自分の強みを生かして、差別化すべくスタイルを確立していきます。たとえ今はレベルが高くなくとも、人一倍の行動力と実行力で、一人のお客様をハッピーにできる存在を目指します。